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大地はオレンジのように碧く

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久々の読書

早いもので、結婚してから2ヶ月もたってしまいました。

7月末で期限の切れる学生ビザを配偶者ビザに切り替える手続き、自動車免許の変更、銀行口座の解約と開設、失業者登録、などなど

必要と思われる手続きはだいたい終わりました。

今は就職に向け活動中です。

とはいえ、やはり時間はかなりある。。。

ってことで、念願の図書館カードを作成しました。(有料!!20ユーロ年会費って、、涙)

本当に10冊くらいですが、日本の小説もあって

「ダメダメ、フランス語の本を読んでレベル向上に勤めなければ!!!」

って思うのですが、日本の活字に飢えていて

飢えすぎていて、図書館全ての日本語の本を三日三晩寝ずに読み続けることもできるくらいなのだけれど、

「一気に読んだら後がなくなる!!」

と、自分を戒め、ちょこちょこと借りては読んでます。(借りた瞬間に読破しちゃうので、図書館で読んでもいいような気がしてきてるけど。。。)


記念すべき第1冊目は

まずは準備運動を兼ねて短編集から

桐野夏生 『ジオラマ』

久々の読書_c0170236_22161894.jpg


もの凄い勢いで読んでしまったのは、飢えのせいもあるけれど、日常生活の中の一瞬で消えるけれど鼻の奥に残る悪臭を集めたような彼女の作品の毒性がなんとも心地よかったからです。

人は人と関わって暮らしています。
肉親だったり、夫婦だったり、クライアントだったり、

それぞれの関係の表面に見えているのは、理想とする形。

幸せな家庭、充実した仕事、などなど

理想とする形とは、社会の目に映るあるべき姿。モラル、形式、見栄、

でもその姿を鏡に映してみると、どこか歪んでいて、

おそるおそる覗いてみると、本当の姿が見えてくる。

歪んでいて、醜くて、臭くて、そして暗い。

不気味だけれど、なぜか落ち着く姿。

その姿に嵌ってしまったら、抜け出ることが出来ない闇。

そんな闇を見事に浮かび上がらせるのは桐野氏の十八番ですね。。

私はたぶんキレイ好きで、美しい物や気持ちのいい事は大好きだけれど、日常の小さな澱みや人の暗部を突きつけられると、そこに途方も無い魅力を感じてしまうのは、自分の本能にはとても原始的で残酷でドロドロしたものがあることを微妙な喜びをもって再確認してしまいました。



さすがにドロドロ系を読みあさるほど病んではいないので、

気持ちがいいお話を、と思い、

小川洋子 『博士の愛した数式』

久々の読書_c0170236_221624100.jpg


以前、『薬指の標本』という彼女の作品を読んだことがあり、結構好きな系統だったので映画化されたこの作品は気になっていました。

『薬指の標本』も『博士の愛した数式』も記憶がキーワードです。

前者は『記憶を保存するということ』後者は『記憶が保存できないということ』

同じ材料でも、後味が全く違っています。

『薬指の標本』は標本と聞いて連想するあの湿気と薄暗さ、カビの生えたような匂い。
カビの胞子のように微細だけれど、自分の一部となっている思い出のかけらが発するノスタルジー。

とても感覚的な作品でフランスで映画化されると聞いたときも、「ヒットしないこと間違い無しだけれど、いかにもフランス人の好きそうな感じ」って思ったものです。

『博士の愛した数式』の方は柔らかな優しい愛情に満ちた爽やかさに満ちていて、繊細なレースを通した柔らかい光を感じるものでした。

最後、目頭が熱くなってしまいました。

映画も良い役者さん達が演じているからきっと素敵な映画なんだろうなって思いました。


この1年、なんだかんだと落ち着かない日々で久しぶりの読書。

やっぱり読書っていいですね〜〜。
by catitude | 2011-08-26 23:01 | 書籍
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